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クルマの次世代動力源問題「環境」の御旗下でさらに加速 - マイトガイ「S」の自動車特選街

クルマの次世代動力源問題「環境」の御旗下でさらに加速

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●経産省が、バイオエタノールを混合した次世代ガソリンを、来る2008年から国内のガソリンスタンドで販売させる意向だ。混入されるエタノールは、当面サトウキビ原料由来のブラジル産を輸入する見込み。具体的な混合比は7%程度を想定しているという。

●この民生利用のバイオエタノール混合ガソリン使用に関しては、日本の関連各省庁において様々な検討実績が過去に山積しており、環境省の検討委員会では、すでに国内自動車メーカー各社に向け、海外でのバイオエタノール混合燃料の利用実績を踏まえ、新車に対するE10ことエタノール10%混合ガソリンへの迅速な対応を求めていた。

●これは既存のガソリンエンジンでは、エタノール混合燃料の使用でNOxなど排ガス中の有害濃度が大きく増加される可能性があるからだ。しかし京都議定書の批准を迫られる中、生物原料から生まれるエタノール混合燃料の利用はエタノールを混入させた分が議定書の規制対象外となることから、温室効果ガス削減を何としても推進しなければならない日本政府にとっては切実な問題となっている。

●海の向こうでのバイオエタノール混合燃料の導入実関では、生物原料系燃料活用の優等生であるブラジルを筆頭に米国、欧州、中国において自動車燃料としての活用実績がある。

●ただ混入されるエタノール濃度が高いと、自動車の燃料系部品を腐食させることもある。このため日本では、欧州で実績を獲ているイソブテンとエタノールの合成化学物質「ETBE」ことエチル・ターシャリー・ブチル・エーテルを使う見込みだ。

●ユーザーの立場から見ると、こうした自動車燃料やエンジンに関わる微妙な話題は、現在使用中の愛車が一体「何時まで使用できるのか」を思い巡らせる事柄となるが、一部の旧車系エンスージアストを除き、現車両の立場を急激に揺るがす事態にはならないだろう。

●ただ自動車エンジンに関しては、1769年にフランス人のキョニヨが自動車という乗り物を発明して以来、様々なユニットが登場して消えるという変遷を繰り返してきた。特に18世紀から19世紀にかけて盛んに繰り広げられた自動車の発明競争において、当時の技術者たちが夢見た理想のエンジンは、決して化石燃料を使う内燃機関とは限らず、蒸気動力や電動モーターなど多彩なシステムが試されている。

●ここで歴史を紐解くと、例えば日本初の純国産自動車は蒸気が動力源であったし、20世紀に入ったばかりの米国内では、現在のようなバイオマス燃料の普及を考えた時期すらある。しかし1885年にベンツがガソリンエンジン搭載車のかたちを確立。1903年にフォードがガソリン自動車の大量生産体制を固めて以降、自動車といえばガソリンエンジンが主流となった。そして自動車は、それまで農耕中心・地域経済主導だった人々のくらしを、都市型経済主導へと大きく突き動かしていく原動力となったのである。

●ちなみにこの間にはボディ構成素材にも時代の変遷が起きている。当初、自動車の骨格は加工のし易さから天然木が使われ、20世紀初頭にエドワード・ゴーエン・ブッドが鉄板プレス機を発明して以降、鋼板ボディが主流になっている。さらに日本の神戸製鋼が量産化を実現した薄く軽量な「張高力鋼板」全盛の近代を経て、ジュラルミン・ポリマー・炭素素材。加えて環境対応の見地から、近頃ではケナフなどの植物系由来の素材が自動車ボディの構成部材として復活しつつある。

●また先の動力源では石油の枯渇や環境汚染から回避を求め、水素から動力を取り出す燃料電池の時代が始まっているのはすでにご承知の通りだ。ただ化石燃料ベースの内燃機関と燃料電池は開発環境の源泉が大きく異なる。もはや電子デバイスを持たないF1マシーンが成り立たなくなった今日。燃料電池を中心としたエレクトロニクス技術をどのメーカーがモノにするのか。未来に向けてそれは、自動車業界の主導権を占う重要な試金石でもある。

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このページは、kenjiが2005年7月22日 03:30に書いたブログ記事です。

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