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マイトガイ「S」の自動車特選街: 2007年2月アーカイブ

2007年2月アーカイブ

●オリックス自動車は、カーシェアリング事業を展開する子会社「シーイーブイシェアリング」を、来る4月1日付で統合する。オリックスグループは、これまで首都圏名古屋で、カーシェアリング事業を積極的に展開してきた。例えば東京都大田区では、カーシェアリングと連携したモデル店を中心に、半径1キロメートル以内に複数のカーシェアリングステーションを配置するなど、ビジネス機会の拡大に向けて余念がない。

●ただ日本の自動車市場では、長時間利用を主目的とするレンタカー需要がどうしても優勢であること。またそもそも日本では、自動車を「自家保有するもの」と認識している層が主流であることから、カーシェアリングを受け入れる環境創りがなかなか進まない。そこで同社は自社レンタカー事業と組み合わせて運用する方が「より高いシナジー効果を生む」と判断したようだ。

●考えてみれば、自動車という乗り物は「快適な移出来る自由を実現したい」と願う人たちの夢を叶え、日本経済の拡大にも大きく貢献した。一方で騒音や気候変動など深刻な副作用も生んでいる。しかし狭い国土に住む我々日本人は、家の玄関先からいつでもどこへでも好き勝手に移動できること。さらに高度なトラック配送網の恩恵を受け、地球の裏側の生鮮物でも何でも、食べたいもの、欲しいものがあればすぐに手に入る。そんな今日の自動車交通システムの恩恵自体を素直に認めざる得ない。

●自動車メーカーも、「まだ世界で70パーセントの人々が自動車の恩恵に浴していない」と言い、自動車産業は全人類の要請に応える社命があるという。しかし一方でそうした自動車産業は、1970年代に「石油の枯渇」というテーマを投げかけられて以降、早40年を迎えており、これまでとは違う形の新しい自動車社会の姿を創造するという厳しい命題が課せられていることも忘れてはならない。

●かつて日本は、1950年代半ばから1970年代後半まで、平均経済成長率10パーセントと1973年に第一次石油危機が起こるまでの間、欧米先進国のキャッチアップに全力を傾け、20世紀終盤には世界が驚嘆する経済発達を成し遂げた。しかし循環型社会の到来を迎えた今日、世界人口中、日本を含む20パーセントの先進国が世界の全生産エネルギーの約80パーセントを消費しており、日本の自動車産業に関わるあらゆるステークホルダーは、未来への影響の大きさを改めて自覚しなければならない。

●自動車は一握りのエンスージァストにとっては生涯の伴侶だが、そうした自動車がもたらす便利さを21世紀を迎えた今日、盲目的に万能視してはならないと思う。社会的立場で自動車を使い・関わる立場は、同じ人でもその場面毎でサービスの提供者になったり、受給者になったり、場合によっては加害者や被害者にもなる。目下、日本全土に於ける四輪自動車台数は80,000万台余りに迫り、自家用車だけでも5,500万台に上る。しかし都市部を中核に数多くの自家用車は年間走行距離は3,000km以下というケースも決して珍しくない。

●そうした中で、豊かな暮らしの象徴が自宅駐車場に置いたままの高級自家用車なのか。はたまた自分のライフスタイルに合わせ、移動手段を選べる自由の方にあるのか。そんな独自の生き方や暮らし方を考え、いよいよ実践していく時期に来ている。今日までの日本は、経済価値優先の考え方で覆われてきたが、経済価値はそれを生むために人が使われるのではなく、人のために経済があり、社会があるということを決して見失ってはならない。そしてその恩恵は社会を循環した後、再び人に対してもたらされなければならないのだ。

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