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マイトガイ「S」の自動車特選街: 2004年11月アーカイブ

2004年11月アーカイブ

●東京部品工業がモータの駆動力でパッドを締め付けるという電動ディスクブレーキを試作した模様。この仕組みはモータの回転を2段の遊星歯車で無段階で締め上げて減速するというもの。

●そのスムーズさがどんなものかが気になるが、これが実用化すればABSや細かな姿勢制御にブレーキ力が利用可能になる。いよいよ自動運転も間近になりそうな気配濃厚で、21世紀末の自動車は現在のものとはまったく違う使い勝手を可能とする乗り物になっているかも知れない。

●当初はエンジンの制御装置から始まったエレクトロニクス化だが、自動車全体を電子機器が支配するようになれば、自動車開発の中枢機構は現在の自動車メーカー主導から部品メーカー主導に移っていく可能性は高い。技術者が憧れる未来の技術がエンジン設計ではなくなるのは確実と言えそうだ。

●世界を舞台に快走し続けるトヨタ自動車。2004年9月の中間連結決算で歴代日本企業の過去最高額を更新した。その好調の原因は、米国でのレクサス人気に支えられており、彼の地で共和党優勢のなか、来期の世界販売台数はトヨタ初の700万台超が確実と経済界で囁かれている。

●これに乗じ2003年に259万台だった海外生産台数を、来る2010年代には2倍にする方針。それが実現すればトヨタの世界生産の規模は1000万台レベルに達する。となるとそろそろ見えてくるのは自動車業界第一位に君臨する米GMの背中だ。

●幸い先の米国大統領選挙は共和党の勝利に終わったこと。また海外法人では人を現地化し、事業を多国籍化するという以前の米国進出とは異なる企業拡大策をとっているため、従来型の国家間摩擦も回避される見込み。

●他方、他メーカーに目を転じると国内軽自動車販売枠とは言え、ホンダは販売台数を落としている。依然大幅な販売減を記録し続ける三菱自動車は、ルノーグループの日産や、仏PSAと本格提携する方向が固まりつつある。

●事実上ダイムラークライスラー傘下となった三菱ふそうは、海外販売の売り上げ増により台数全体で国内の落ち込みをカバーする勢い。同様に外資系企業のマツダは人材育成を含めよりフォードとの協業体制を固める意向。

●どうやらいよいよ自動車業界の優勝劣敗がさらに明確になりつつある。しかし巨大企業グループの誕生が、日本の社会や経済に明るい未来をもたらすと考えるのはあまりに早計かも知れない。なぜなら企業の最終目標は、現在の社会環境のなかで可能な限り早く多く利益をあげることが最終目的であるからだ。

●一方で消費者層が自分たちのために道理に添った行動を取るとは限らない。何故なら、大抵の売り手は買い手より常に多くの知識を持ちながらも短期的な利益誘導に導く行動を取るかも知れないし、消費者層は長期的な尺度ではなく、目の前の価格だけを重視する可能性があるからだ。

●巨大企業グループの誕生は、それだけ事業運営に掛ける資本も体力も大きく巧みになることを意味する訳で、そんななか新時代に生きる消費者は、そうした大手企業の動向をも左右しうる確かな眼と判断力を持ち合わせていかなければならない。

米国の自動車殿堂と同じく、日本に自動車産業の礎を築いた人を讃えたい。そんな想いから生まれたのが特定非営利活動法人「日本自動車殿堂」。そこが今年の殿堂入りとして新たな6人を選出した

●そしてそのなかには、先だって本家?の「米国自動車殿堂」で賞賛を浴びた日産のゴーン社長が含まれることとなった。その理由は「新しい企業経営の道を開いた」ことが評価の対象という。

●その他には「スバル 360」を開発した富士重工の百瀬腐晋六元取締役や、初代「カローラ」の開発主査であるトヨタの長谷川龍雄元専務。「CVCCエンジン」の開発に携わったホンダの久米是志元社長など。

●今年のモーターショーを通じて巷の一般紙では、トラック業界でハイブリッド車の波が到来しつつあると結んでいる。確かに昨今はトラック事業者とはいえ、人家のない郊外に操業拠点を設けるのは難しい。

●そこで一般道に出るまでの短い区間では高速走行時、蓄電池に溜めた電力で住宅街を抜けるキャパシターユニット搭載車や、走行中の減速時に回生エネルギーを回収、加速時のモーター駆動として利用する配送用ハイブリッド車両などに大きな可能性がある。

●実際、こうした車両には政府から補助金が支給されるとあって注目度も高い。しかし今年のショーは、これまでにない世界最高水準でディーゼルエンジンの低公害化を達成した日産ディーゼルのエンジン技術にも注目したい。

●同社この世界最高水準の「超高圧燃料噴射+尿素SCR触媒」搭載車を早くも今年11月末から日本各地のトラック事業所へ供給し始める。現在世界規模では、EU圏のトラックメーカーが市場を占拠するなか、低公害化の核となる尿素水の供給体制をも含め、日本国内の下位メーカーである同社が実現させた、そのパワーは並大抵ではない。

●今後はダイムラークライスラーを背景とする三菱ふそうや、業界トップ日野の追撃が始まる訳だが、現時点で日デに追いつくのは難しそうだ。今後、日本において環境対応技術の主役はどのパワーユニットになるか。その行方は日産ディーゼル工業の新型ユニット「フレンズ」に懸かっていると言えそうだ。

●11月となって早くも3日。まさに秋たけなわを迎え東京モーターショー開幕日と重なった今日。自動車ファンのなかには幕張メッセに足を運んだ方もいることと思う。今ショーは、ギョーカイで云うところの「裏年開催」であるため、その内容は商用車が中心。このため久々に行ってみた一般公開日は「開催初日」でしかも「祭日」というのに、呆れるほど閑散としている。

●この状態はいつもの東京モーターショーとは雲泥の差。プレスの立場としては、報道発表日に伸び伸び見られるので、あまり偉そうなことは言えないが、普段のショーも今日程度の混み具合なら一般の方はさぞ楽しかろうと思う。

●ちなみに商用車ショーというと、それだけでなにやら寂しげに思えるかも知れない。けれど人数こそ限られてはいるがショーガールは居るし、普段の生活環境に密着している福祉車両や、移動店舗みたいな架装車も含まれているから自動車イベントとしてはそれなりに楽しめる。

●で本人は、ライターとして普段からトラック系記事にも関わっているので、今日も念入りに会場内を眺めまわしてみた。そんななかでチョット気になるのが近頃の福祉仕様車の動きだ。特に市販のコンパクトカーの構造を踏襲、後部に車椅子を乗り込ませるクルマが各メーカーで一様に見られるようになった。

●それらは日常の使い勝手を考えると、経済的にも環境負荷の低減という意味でも、大変結構なコトではある。だが「福祉車両としてパッケージングしました!」というノリなら、もう少し考える余地がある様に思えるのである。

●その多くは、いわゆる「リッターカー」の車体後部に電動昇降装置を組み込むという格好。なかにはフロア後部への乗降性を高めるため、ボディ骨格の一部を改造して低床仕様にするという凝りようで、日本の自動車メーカーもなかなか研究熱心だ。

●しかし実際に車椅子を載せてみると、どうも納得いかない。というのは車椅子に座っている方の後頭部が、リアのドア付近へ異常に接近し過ぎている様に思えるのである。もっと端的に言うと、この状態で車椅子の方が守られるだけの充分なクラッシャブルゾーンが「本当に確保されているの?」と思えるクルマが目につく。

●そもそも近頃は、基本形となったコンパクトカーにも三列目のシートを設置して、最大限の乗員数を稼ぐ努力をしているクルマがある。けれどこういう場合、最後列乗員の安全性とはいかなるものなのかを個人的に疑っている。

●実際ブース担当者に、この件でお伺いをたててみたのだが、残念ながら胸がスッキリするような答えは得られなかった。どうやらメーカーとしては、昨今都内で走り始めた格安タクシーを筆頭に、福祉系の輸送事業における新ニーズを狙っているらしい。

●昨今は輸送サービスの現場でポランティアやNPOスタイルの「移動サービス」と「タクシー事業者」との間で、「輸送サービス提供には二種免許が必要では...」など色々牽制したりと、全国各地で熾烈なツバ競り合いが繰り広げられている。一方で、肝心の地方行政側はいつものごとく、なかなか重い腰を上げたがらず、サービス提供を受ける側のお年寄りや障害者が困っているという話も聞いている。

●自動車メーカーとしては、移動に伴う「多彩なニーズを汲む」というのはとても素晴らしいことではある。けれどもそうした輸送事業に関わる事業者すべてが車両使用に際し「お客様を乗せている」という事実をもう少し深く受け止めて欲しいのだ。

●例えばそれは「タクシー」でも「訪問介護」や「通所介護」を行う事業者でも良い。いずれもその事業ゆえ、決して健常とは言えないお客様をお乗せする訳で、車両のなかで最も危険度の高いと思われるところへお客様を乗せられないはずだからである。

●なかには「自宅のお年寄りを乗せたい」と願って、こうした車両をお買い求めになる心優しい方もおられるはず。しかし購入にあたっては、後部の安全性がどの程度確保されているかは、しつこく聞いた方が良い。また電動車椅子を利用している場合は、昇降装置と干渉するケースが結構あるのでくれぐれも慎重に。

●当の自動車メーカーには、せっかく良いコンセプトなのでもう一歩パッケージを煮詰めて頂くことをお願いしたい。例えば、あまりにも急場しのぎ的ではあるけれど、かつて70年代に流行った5マイルバンパーみたいなコンセプトを発展させ、後部からの衝突安全性を高める構造物を付加すること位はごく簡単にデキるはずだから。

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