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遅れてきた巨人、中国の成長がとまらない - マイトガイ「S」の自動車特選街

遅れてきた巨人、中国の成長がとまらない

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●世界の政府代表や自動車業界人が東京に集い「第5回国際自動車産業・日本円卓会議」が行われ、この席上で、中国汽車工業協会首脳が「中国市場は今後40年以上成長が続く」という強気の発言をした。

●2005年に総人口13億人の壁を突破した中国。その想像を絶するスケールメリットを活かし、旧い国家体制を維持したまま自由経済拠点を次々と増殖させている。そんな中国が年間のエネルギー消費に使う石油は全体の約3割。しかもその7割は自動車燃料として使われている。

●おかげで中国の石油消費量は、自国の石油産出量を超えもはや自由主義国家間との交易なしに立ち行かない環境下にある。しかしかつて天安門事件によって経済発展が立ち後れたように、中国は特殊な政治体制ゆえのアキレス腱を抱えている。というのは基本的に中国では、政府各省が基幹産業を育成を掌握しており、突き詰めれば経済効率よりも政党の安定性が優先される可能性を秘めているからである。

●またこのほど遂に通貨の切り上げを行ったものの、今後、外貨とどのように連携を取っていくのかは未知数でもある。もしも仮に世界の通貨相場の見込みを誤ることともなれば、それが「バブル崩壊の引き金になる」と唱える経済学者は少なくない。

●そもそも中国が社会経済の改革・開放に踏み出したのは1978年末のこと。この頃の中国で乗用車といえば、政府高官の乗る「紅旗号」「上海号」が5000台程度闊歩しているに過ぎなかった。しかしその後、地域暫定とはいえ経済開放を果たした中国国民のバイタリティは、まさに止まることを知らないかのようだ。

●一時期、55社以上あった中国の自動車メーカー各社は、政府の方針により淘汰され、今ではあからさまなコピー商品の氾濫も収まりつつある。むしろモータリゼーションの黎明期を潜り抜け、ここ大陸にも健全な自動車生産・販売の土壌が醸成され始めているように見える。

●特に2001年のWTO加盟以降、自動車生産は規模に関しても急拡大を見せている。
より具体的には乗用車の生産台数で、2001年の72万台から2002年は110万台へと伸長。去る2003年には444万台(前年比36.6%増)の数字を達成してあっさりフランスを抜き世界第4位の自動車生産国に躍進している。

●業界の最新予測では、2005年の自動車保有台数は2000万台超となる見込みで、さらに2010年には3000万台超となるといわれている。その効果は部品調達の裾野が広い自動車産業ゆえに、今後は化学・繊維工業も含め中国の産業レベル向上に大きく貢献するだろう。

●そのなかで日本の自動車メーカーは、諸事情もあって中国への進出に大きく出遅れていた。しかし2005年を迎え、中国自動車産業と日本の自動車メーカーを巡る動きは大きく急旋回し始めている。そのひとつは、かつて機械産業の過疎地でしかなかった広東省・広州にトヨタ、ホンダ、日産が拠点を構え、さらに東風、裕隆など日本メーカーと深い関わりを持つ台湾企業も集結。今や広州は中国随一の自動車生産の集積地になりつつあることだ。

●ただし伸び続ける自動車需要のなかにおいて、深刻な問題がまったくない訳ではない。それはすでに中国で1600万台の自動車が大地を走り始めているからで、地球規模における環境保護を前に現在の中国には、ジャパニーズスタンダードとは違う発展途上国に合致した新しい低公害車の姿が求められていることである。

●そこで中国・国務院の科学技術部では、来る2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博でのデモ走行を目標に、独自の燃料電池自動車の開発に着手している。こうした中国独自の構想を背景にした交通社会の構築は、急速な社会発展をスポイルすることなく地球環境に優しい自動車社会を実現しようとする試みとなる。それは中国のみならず、世界の発展途上国の行方をも占う壮大な環境実験になるかも知れない。

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古田行政書士事務所 ブログ版 - 中国の自動車生産 (2005年9月11日 02:13)

中国の2003年の自動車生産台数は、444万台、2004年は507万台、ことしは 続きを読む

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初めまして。

中国ビジネスに興味があるものです。

トラックバックさせていただきました。

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このページは、kenjiが2005年7月24日 04:29に書いたブログ記事です。

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