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走りの志しはEVユニットでも変わらず - マイトガイ「S」の自動車特選街

走りの志しはEVユニットでも変わらず

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●単なる交通機関のひとつとして捕らえると、自動車は数多有る移動のいち手段でしかない。しかしエンスージァストにとってはされど自動車である。クルマの走りを愉しむことはクルマ好きにとっては永遠のテーマだ。

●しかし今日、その最たるものである2ドアクーペやオープンカーなど、いわゆるスポーツ系車両の国内販売数は、2003年時点で約4万4000台でしかない。これは10年前の2割にも満たず、現在の新車販売の1%にも達しないというお寒い環境である。

●そんな逆風のなかでもマツダのRX-8や日産のフェアレディZは、数万大規模の販売数を記録している。このことから、またまだオーナードライバーたちに「走り」に対する熱い期待があることが判る。自動車メーカーにとってもいわばこれらのクルマは「儲け」度外視の商品で、実売り上げ以外の効果を期待するイメージリーダーカーでもある。

●ちなみにこれらのクルマは、搭載エンジンのスペックがパッケージングの善し悪しを左右するほどに重要だが、一方で、欧州カーオブザイヤー2005を受賞したプリウスなど、ハイブリッドカーももはや珍しい存在ではない。もちろんガソリンエンジンの他、欧州で根強いディーゼルエンジンなど、化石燃料で動くユニットが早晩無くなるというわけでない。

●加えてマツダBMWでは水素を燃焼源としたユニットも開発されてもいる。それでも世の自動車ファンのなかには新動力源に夢を持てずにいる向きもあるようだ。確かにいずれは燃料電池など電気をエネルギー源とするユニットが台頭してくることは間違いない。

●しかし既存のガソリンエンジンとはまったく異質なEVユニットには、ゴルフカートぐらいか接したことがなく、電動モーターに良いイメージを持たない向きも多いと思う。しかし電動モーター搭載車の走行フィーリングは実のところ決して棄てたものではない。実際にそのパワーフィーリングを知ると、EVユニットも決して悪くないと思うハズだ。

●これは平成8年に販売されたEV開発初期のトヨタRAV4L V EVでも裏切られることはなかった。電動モーターの高性能ぶりは日本人にとっては新幹線が身近にあるだけに分かり易いと思うが、特に実用速度域でのパワーフィーリングは圧巻で、最近のユニットは最新の鉄道車両に似た動力音を伴いながら、ガソリンエンジンには発揮ではできない加速性能をマークする。

●世界の自動車メーカーではこれを燃料電池システムと組み合わせて搭載していく流れで、現行の車両パッケージをベースとすると燃料電池というしくみは、自動車メーカーにとって最も最適なもののひとつだ。一方、日本ではこれに異を唱える技術者が存在している。慶應義塾大学電気自動車研究室の清水教授はその筆頭だ。

●彼によるとそもそも電動モーターという動力源はガソリンエンジンとは違いとてもコンパクトに造れるため、現行の自動車エンジンと入れ替える恰好で車輪を回すのは非効率だという。ガソリンエンジンの場合、動力源は数100kg以上のユニットとなってしまうし、燃焼の爆発力をタイヤに伝えるにはドライブシャフトや複雑なミッション装置が欠かせない。

●しかしモーターが発揮する動力を余すところなく伝えるには、ホイール内にモーターを内蔵して直にタイヤを駆動してまえば良く、そうなればエンジンの搭載を考えなくて済むため自動車パッケージそのものに大きな革命が起こる。

●この場合高性能なクルマを造るひとつの方法論は、エンジンの気筒数を増やすのと似ていてホイール内蔵のモーター数を増やせば良い。彼らが造る高性能EVが6輪や8輪であるのはこうした理論が下敷きになっている。

●今の燃料電池車は、化石燃料を基とした動力源を永年造ってきた現在の自動車メーカーならではの方法論で、動力源が変わればクルマそのもののパッケージはもっと大きく変わっても良いのはないか。そんな想いが込められているわけだ。

●JR新川崎の沿線沿いにある慶應義塾大学電気自動車研究室には、そうした方法論で造り出されたEVが所狭しと並べられているが、その構想は電動モーターの可能性に大きな夢を抱かせる。EVユニットであっても心躍るスポーツカーは実現可能だ。

●現時点で次世代自動車の展開は既存の自動車メーカー主導で動いているが、実のところ次世代車に対する発想は、固定概念に捕らわれている既存メーカーだけではなく、彼らのような新しい血を必要としているのかも知れない。

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このページは、kenjiが2005年1月 2日 07:25に書いたブログ記事です。

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