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自動車交通網のインテリジェント化がもたらす未来 - マイトガイ「S」の自動車特選街

自動車交通網のインテリジェント化がもたらす未来

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●国土交通省による第3期ASV実験が順調に進んでいる。今回の実験では、クルマ間のリアルタイム通信を介して「正面」「右左折」「出会い頭」「車線変更」「停止車両」「歩行者」など、多角的な環境での抑制効果を実証していくという。このため国内14メーカーが実車を持ち寄って、より現実に近い環境下で実験を行う。ちなみにこの「ASV」というのは「Advanced Safety Vehicle」の略である。

●要はエレクトロニクス技術を通して、自動車を高知能化して交通環境での安全性を高め、高度道路交通システムことITS「Intelligent Transport Systems」の受け皿になる近未来のクルマを造るというものだ。近年話題のITSは、そのためのインフラ網という訳だが、その方法はカーナビゲーションの高度化、自動料金収受システム、安全運転支援だけでなく、その他の複数の開発分野から構成されている。

●そんなITS構想は目下、4つのフェーズを順次消化していくことで進められており、すでにVICSなどによる交通関連情報提供や自動料金収受は実現済み。2005年頃とされている第2フェーズでは、旅行時などで利用者のリクエストに応じた魅力的な目的地を検索。所要時間等を勘案した到着までの最適経路や交通機関を簡単に選択できるようにする。さらに続く第3フェーズにあたる2010年頃には、夢の自動運転が始まり、第4フェーズでは交通事故死亡者が大幅減少。都市の道路渋滞も低減するというシナリオが描かれている。

●一方そうした未来を語る以前に、現実のインフラ面でスマートIC実験の延長を決めた常磐自動車道・友部SAを筆頭に、全国各地で着々と自動車交通網のインテリジェント化は着々と進展中だ。有識者による電子情報通信学会のITS研究会や、学識経験者、自動車・二輪車メーカー、関連団体、研究機関、関係省庁を委員とするASV推進検討会などを経て、関連技術の社会浸透速度も大きく加速している。

●そんな中、実は以前から気になっていることがある。それは国土交通省の久米技術安全部長が、本年頭の辞でも語っていたスマートプレートの行方だ。このスマートプレートとは、車両識別を目的に登録情報を記録した電子ナンバープレートのことで、一般車両のナンバープレートに小型ICチップを埋め込み、その情報を路側に設置した受信機を介して読み取るというもの。現在のETCカードが目下、鉄道事業で使われているJR東日本の「スイカ」や、同西日本の「イコカ」だとしたら、スマートプレートは、端末そのものに同機能を組み込んでしまう「おサイフ・ケータイ」のようなものと思えば判り易い。

●同システムを使うメリットは「身体にハンディキャップのある人が乗っている」など、特定の車両を瞬時に判別し、そうしたクルマの属性毎に様々な割引き料金を適用対象したり、ナンバープレートの自動識別を通して将来始まるであろう道路上における様々なサービスを享受できるようになることにある。ITSの認識性能もシステム開発を担う三菱電機によると、次世代は相応の高速領域でも大容量データの交換が可能になるという。

●また実はこちらの実用化は先のASVより大幅に早く実用化される方針だ。ちなみにスマートプレートには、ナンバーの識別だけなく車検証記載のデータなど個人的な情報が含まれる可能性が高く、同関連の委員会にはすでに現時点でNシステムを通じて一般車両の移動を監視している警察庁からの委員も加わっている。

●社会がエレクトロニクスを通して便利になるのは、一般庶民として諸手を挙げて歓迎したいのだが「車両情報に伴う移動場所の特定」という現実は、ともすればプライバシーの侵害につながり、さらにパーソナルな乗り物であるクルマの立場を危うくする可能性も秘めている。

●またそもそも先の交通インテリジェント化構想で、クルマの自動運転が可能となるのであればエンスージァストを除く一般消費者にとって、今後、自動車ビジネスは単にクルマというハードウェアを消費者に訴求するだけのビジネスモデルでは通用しなくなり、永年魅力ある商業施設やレジャー施設とのシナジー効果を消費者に訴求してきた鉄道輸送とも競合する可能性すら出てくる。Nシステムに関しては一般の方々が開設している様々な切り口を持つサイトがあるので、交通社会のインテリジェント化に夢馳せる時は、それに対する多角的な効用についても是非とも想いを馳せて欲しい。

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このページは、kenjiが2005年10月10日 23:32に書いたブログ記事です。

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