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レクサス網誕生で気になる現行セルシオの行方 - マイトガイ「S」の自動車特選街

レクサス網誕生で気になる現行セルシオの行方

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●2006年からレクサス店以外のトヨタ傘下ディーラーでは「セルシオ」の販売ができなくなる。これまでトヨタの販売網は、トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店と、ビスタ店の消滅後4チャンネル化していた。しかし2005年8月の「レクサス店」の追加で再び5チャンネル体制に戻る。そして2006年にはレクサス店で「LS(現行セルシオ)」の販売が開始されることから、当然のことではあるが既存ディーラーは現行セルシオを販売できなくなるのだ。

●ちなみにレクサス展開に関するビジネスモデルはご承知のように、いち早く米国で成功を収めている。米国でのレクサス成功の要因は、「限定店舗としたことによる販売店の希少価値」「トヨタ生産方式を背景にした流通車両の希少価値(実販売製品のみを生産するオンデマンド方式)」「洗練された販売手法や顧客対応」などの徹底したブランド戦略がある。日本国内市場でも同様の手法を使い、メルセデスやBMWなど、高級輸入車へと流れる上級ユーザー層をキャッチアップする構えだ。

●そこで、ここのところ数年間掛けて国内系列ディーラーの再編を加速させ続けたトヨタは、この12月21日に全国140店舗(順次当初予定の180店舗に拡大)で、米国譲りのレクサス網を立ち上げると発表を行い、さらに国内レクサス網で投入第1号モデルとなる「GS(新型アリスト)」も公開した。

●しかしトヨタは現時点で、現行セルシオに代わる新型車の投入を計画していないため、このままいくと、多くのトヨペット系ディーラーなどでは2006年以降は、「マークX」が最高価格帯商品となってしまう。当然、販売するタマがなければ優良顧客を失うのは明白で、レクサス店を獲得できなかった地場ディーラーでは顧客喪失の不安を拭いきれない。そもそも系列ディーラーの多くは、地場の有力資産家が販売権を得て独立営業していることから、商品ラインから高い利益が見込める高級車がなくなるのは大きな痛手だ。

●ちなみに自動車に限らず工業製品全般の工場出荷価格は、最終販売価格の約半分と云われており、そこから流通経路上で最終商品化に掛かる経費やマージンが載せられて消費者との接点となる販売店に卸される。車種によって販売価格帯の広い自動車の場合、その比率にブレはあるものの、高価格商品の方が既存店にとっても収益が得られる商品であることは間違いない。ゆえに現行セルシオは、既存系列ディーラーにとって虎の子商品である。

●ただセルシオの併売は、米国ビジネスモデルの日本国内実現を目指すトヨタとしては不可能で、これまでにもあった中途半端な車両投入は消費者が許さないだろう。このため今後180店舗へとレクサス販売網を拡大していくなかで、系列店の要望を吸収していくのだろう。

●いずれにしても日産の販売網統合の動きを含め、国内自動車メーカーの傘下で、これまでの車種ラインナップやフランチャイズド展開が永遠に続くとは限らない。日本国内でも新たな展開を模索する地場ディーラーが登場するなか、欧州での展開を含め、個々の自動車ディーラーは独自で自活の方策を探っていく必要があるようだ。

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このページは、kenjiが2004年12月31日 14:17に書いたブログ記事です。

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