●宮城県では毎年秋、「宮城バスまつり」というローカルイベントをやっている。イベント自体はそれほどたいそうなものではないけれど、仙台市交通局が廃車バスの表示板やらの車両系パーツの販売を行うことから、実はコアな交通マニアにはよだれモノの催事として知られていた。しかし来る2005年から自動車リサイクル法が施行されることで同イベントは今年限りでお蔵入りになるかも知れない。
●一見、宮城のいち地方都市の小さな話題と思ってしまうが、ここには意外な自動車リサイクル法の矛盾がある。来年施行される同法律では、廃車からの部品取り外しが登録した解体業者だけに限定されてしまうからである。広義では京都議定書の批准もあり、これからは環境保全をシッカリ行っていくのだから、もっともなことではある。しかし...。
●来年以降、何らかのかたちで自動車の中古車部品に関わりたいと願う事業者は、施錠可能な舗装された専用敷地が必要になるなど資格取得に物理的な条件が発生する。このため日々膨大なクルマを扱うであろう一般の自動車整備事業者であっても、解体業者資格の取得は条件次第で相当難くなってくるのである。
●近年は自動車のアフターマーケット環境も世知辛くなったことで、一般の整備工場でもまだまだ使える廃車部品や中古車部品をストックするという事例が増えてきた。なかには敷地内にマニア向けの超レア車の部品取り車を保管しているショップもある。しかし今後は解体業者資格を持っていないとこうしたビジネスは認められない。
●そういうコトは、これまで通り「こっそりやれば良い」という考えだってある。けれども自動車整備業は毎日の仕事だから違法行為を黙認し続けるのは難しいし、解釈の範囲は次第に大きく拡大されてくる。特にクラッシュした車両を扱う板金塗装事業者は、来年以降、頭を悩ます問題が少しずつ起こってくる様に思えてならない。
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