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日野+トヨタ、昭和シェルと合成燃料用エンジン研究を開始 - マイトガイ「S」の自動車特選街

日野+トヨタ、昭和シェルと合成燃料用エンジン研究を開始

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●日野+トヨタは昭和シェル石油とコンビを組み、合成液体燃料のGTLが持つ低公害性を引き出すべく、新ディーゼルエンジンの開発に着手した
このGTLというのは、天然ガスから生成される無色透明な液体燃料のことだ。GTLは、燃焼特性が良く、硫黄分・芳香族分を含まないから、排出ガス浄化効果が期待できるというシロモノなのである。

●同燃料はいわゆるバイオマスタイプで、Gas to Liquidsとギョーカイでは呼ばれている。何やらちょっと名前を聞くと多くの人は「液化天然ガス」と錯覚してしまうかもしれない。
けど実際にはまったく別モノだ。液化天然ガスは空気に触れると気体になってしまうが、GTLは空気中でも軽油と同じく液体として扱える。

●でこのGTLの利点は、軽油の代替燃料として比較的使い易いことにある。要は大幅なインフラの改造なしに既存の自動車や、日本全国に4万5千ケ所あるとも云う現ガソリンスタンド設備で取り扱うことができるのだ。ただ現在は生産体制上、供給量に限界があって当面は軽油との混ぜて使う程度しか造られていない。

●日野とトヨタはこのGTLの将来性を見込んで、中大排気量の直噴ディーゼルエンジン研究と小中排気量の直噴ディーゼルの研究を行うことを決めた。
ちなみにGTLの同研究は、経済産業省からの交付金を基に新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募した2004年度の「革新的次世代低公害車総合技術開発事業」のひとつだ。

●さて、近頃は強い社会の要請もあって、こうしたディーゼルエンジンの低公害化に関しては世界において多彩な試みがある。けれどいずれもその鍵は、日本で云うところの「新長期排出ガス規制(2005年〜)」や、その後に続くポスト新規制(2008年〜が目安)を筆頭に、お国毎に次々と過酷になっていく法規制に掛かっている。特に緊急の公害要因は、窒素酸化物の「NOx」と、石原東京都知事がフリフリしている「PM」こといわゆる煤。このふたつの削減は日本にとっては急務の仕事となってきている。

●ただディーゼルエンジンというのは、「PMを削減するとNOxが増える」、逆に「NOxを減らすとPMが増える」というのが構造上の宿命。
そこで近頃の低公害エンジンは、「燃焼室でNOxを削減した後、触媒でPMを採るEGR式」と、「燃焼室でPMを削減した後で、触媒でNOxを分解するSCR式」の2タイプがある。
このふたつを簡単に説明すると、EGRは最終段階においてフィルターを使いPMを取り込む。他方SCRは、排気ガスを尿素の水溶液に通すことでNOxを分解するというもの。世界ではこの方式を巡ってふたつの陣営が競合中だ。

●そんな訳で、EGRタイプはトヨタ+日野グル−プが積極的に展開中。一方のSCRはベンツやボルボ、スカニア、日本では日産ディーゼルが水面下で研究しているそうな。
欧州で主流を占める勢いのSCRは「尿素選択還元型NOx触媒」の略。つまり尿素とは、よくある美容クリームに含まれている尿素と同じ。これが排気ガスの低公害化に貢献するというのは、よくよく考えてみるとなかなか面白い話だよね。

●今やディーゼルエンジンの低公害対策は新しいステージに到達しつつあるようだ。
もはや既存のエンジン開発の考えでは、厳しい社会の要請に応えられない。そんな時代を迎えている。
今年、千葉では来る11月に商用車・福祉車両を取り扱う東京モーターショーがあるけれど、今回のショーでは思いもしない画期的なエンジン開発技術が見られるかも知れない。実はその可能性はとても高いと診ている。

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このページは、kenjiが2004年10月 6日 01:58に書いたブログ記事です。

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