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21世紀のクルマ選び - マイトガイ「S」の自動車特選街

21世紀のクルマ選び

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〜低迷する韓国の軽自動車マーケット〜

●隣国の、韓国自動車工業協会(KAMA)によると、当地では現代自動車のミドルグレード車であるソナタが、2007年の最多販売台数(10万5247台)を達成。さらに2位アバンテ、3位がグレンジャーと、世界規模で原油価格が高騰しているのにも関わらず、韓国内では依然、押し出し感の強い中・大型モデルに人気が集中している。同国の小型車枠で唯一気を吐いたのは中小企業の活力に支えられ、約7万台を売り上げた現代・ポーターだけである。

●そうしたなか今年から韓国内では、車幅が1.5メートルから1.6メートルに、排気量で800ccから1000ccへと、同国内における軽自動車規格が拡大される。これを受けて起亜自動車は、AT装備車で1リットル当たり16.6キロという好燃費と100万円に満たない手頃な車両価格を武器にした1000cc車モーニングを投入。これによって、それまで韓国軽自動車市場ただ一台の軽自動車として、ひとり舞台を演じ続けてきたGM大宇のマティズとの戦いの火蓋が切って落とされることになった。

〜韓国で自動車は乗るヒトを体現する鏡〜

●実はこれまで、韓国では軽自動車の販売は永らく低迷してきた。これは日本海の対面で、軽自動車の販売数だけが今日も伸び続けている日本国内とはまったく異なる展開である。もちろん韓国においても、日本と同じように軽自動車は、税制面や道路通行料の割引など車両維持に掛かる費用面でのメリットはシッカリと存在している。

●しかし韓国では「自動車を持つこと」に対してステイタス性を大変重く見ているところが、日本とは大きく違う。加えて「大柄なクルマの方が衝突時には安全だろう」とするステレオタイプの考え方も相まって、現代・起亜・GM大宇・双龍ルノー三星と数多ある自動車メーカーのなかでも軽自動車市場に進出する企業はホンのひとにぎりである。近年の韓国内で、マティズの競合と目されていたクルマは、現代のアトス、起亜ビスタ位であり、またそれらのライバル車達は、既に販売停止の憂き目を被り、韓国内の自動車マーケットからはとうに消え去っている。

〜日本の軽自動車が韓国市場へ参入する機運も〜

●つまり韓国では、「大きなクルマこそ成功の証と見なす」という国民意識が、エコな軽自動車市場発展の大きな障壁となっているのである。そこでこの2007年末、韓国政府の大統領職引継ぎ委員会は、年間243万バレルの原油節減効果を狙って、これまでは「小型車へのLPG搭載は危険である」と拒否し続けていた軽自動車とハイブリッドカーに対するLPGの使用を、2015年までの8年間に限定して認める意志を固めた。

●加えて日本からは韓国の軽自動車市場開拓を目指し、日本メーカー進出の機運が高まりつつある。その第一波は、GM大宇が仕掛ける三菱「i」の販売である。気になる車両価格は100万円を大きく超える見込みで、韓国市場の経済環境からは若干値が張る。しかし急騰している原油価格や、都心で悪化する交通事情を勘案すれば、軽自動車の販売比重が高まる可能性はまだまだ充分にあるだろうし、また韓国の聡明な消費者達はきっと正しい選択をするだろう。

〜韓国は世界の自動車社会に大きな影響を与える存在に〜

●翻ってみると韓国の自動車産業は、1960年代末から80年代後半にモータリゼーションのピークを迎え、1970年代にわずか7万台余りだった車両登録台数は、30年目の節目を迎えた2000年には336万台となっている。そして2007年。商用車も含めた自動車生産台数で、現代自動車は1社単独で453万台と3年連続で世界6位の自動車生産台数を記録するに至っている。

●それが意味するのは、もはや韓国が自動車の世界において一介の挑戦者では無いということだ。韓国はアジアの自動車社会という枠を超え、世界経済に大きな影響を与えるほどの自動車生産大国なのである。しかしそんな自動車生産と販売を支えているエネルギーは、目下のところ間違いなく化石燃料の石油であり、その生産量自体は2005年末の8,600万バレルをピークに、今この時も減少の一途を辿っている。近年の技術革新で、原油採掘と並行して石油抽出元の大地からは、新たに天然ガスも採掘されている。とは云え、いずれは発展途上国も含めた世界の石油需要に追いつかなくなる日は近い。

〜ひたすら消費することだけが幸福を生む鍵なのか?〜

●他方では石油をエタノール燃料に替えていくことで、「さらに自動車社会を維持・発展させていくことも可能」とする見識もあるようだが、本来人間のための食料であるはずの穀物を自動車燃料と競い合わせること自体、数多くの課題が山積しているのではないか?またそもそも石油から造られない新エネルギーのエタノールであっても、排出される二酸化炭素量はまったく変わらず、かつ現時点での燃料効率はエタノールの方が劣るのである。

●加えてサプライムショック覚めやらぬ金融市場から、膨大な投機資金が原油市場に流れ込んでいることを踏まえると、現時点で世界を支える米国経済が果たしていつまで安泰なのか予断を許さない。そうした環境下で950,000百万ドル余ものドル建て外貨を抱えている日本も心しなければならないことだが、韓国でも自動車生産・販売体制を「米国依存体質」から「内需確保型」の経済スタイルに仕立て直しておくことは必定となるだろう。

〜人の欲望は無限だが、地球の資源には限りがある〜

●21世紀を迎えた現代人にとっての人生の成功とは、「資源を浪費することで得られる幸せ」を求めて、沢山のモノを買い込み、大きなクルマに乗ることではないのだろう。自動車社会や人間社会を今後もより発展させていくために、我々は今日何をするべきなのか。一人ひとりが考えて・行動する、そんな時期に来ているのだ。

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燃費向上・CO2削減のインテークマジック - 燃費向上・CO2削減のインテークマジック (2008年1月16日 15:39)

燃費向上・CO2削減のインテークマジックの秘密 【トラック原油高騰】燃費の向上 排気ガスの無害化 黒煙の削減  NOxのカット パワーアップ 続きを読む

コメント(2)

車選び大変参考になりますね。

またきますのでよろしくお願いします。

車選びの中で燃費の問題は今現在非常に気になる点でもあり、これから先、どれだけ石油燃料が存在するのか?考えざる得ません。
スポーツカーであるFerrariでさえコンセプトカー Ferrari F430 BioFuel Spyder を発表しましたね。ある意味、次世代燃料への早期移管はどのメーカーも考えざる得ない状況まで追われているのでしょうか?

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このページは、kenjiが2008年1月15日 03:42に書いたブログ記事です。

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