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熾烈なメーカー系販社と独立系中古車店舗網のバトル - マイトガイ「S」の自動車特選街

熾烈なメーカー系販社と独立系中古車店舗網のバトル

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●近年、クルマの買い換えサイクルが大きく伸びたことから、自動車1台あたりの使用年数は、年を追う毎に長期化している。それはクルマがより永く使われることで、回り回って、おのずと登録台数が減少する自販連(日本自動車販売協会連合会)7月度発表の中古車登録台数でも明らかだ。中古車登録台数の具体的な下落数は、前年同月比8.6%減の39万6057台と、ここのところ4カ月連続で先細り傾向に歯止めが掛からない。なかでも乗用車の下落率は9.7%減と最も深刻である。

●同背景は、自動車ディーラーの新車販売実績の低迷により、相対的に中古車登録台数の原資となる下取り車両の数が大きく減少したことにある。ただこの問題は、実のところそれほど単純ではない。というのは、昨今のガソリン価格高騰も、新車の買い控え動機に対する強い抑制要素になっているからだ。つまり、この状況を的確に説明するには、これら複合的な要素をひとつひとつ、解きほぐして行かなければならない。

●ただ確実に言えることがひとつある。それは、現段階の国内中古車市場が大変、過酷な環境下にあるということだ。しかしその見方を、自動車の「販売総額換算」という別の確度から眺めてみると、先の過酷な環境下とはまったく異なるデータが浮かび上がる。

●この中古車の販売総額という数値を見ると、今でも、新車販売総額の3割相当に匹敵する数字を中古車マーケットが叩き出していることが判明するからである。しかしそもそも販売車両の絶対的なタマ不足に悩んでいるはずの同市場。なのに、これだけの高成績を出し続けているというのは何故なのか。実はその背景には、日本の中古車市場独特の流通構造に隠されている。

●現在、日本国内の中古車マーケットで生息する中古車販売店は、全国で実に1万3000社以上と言われている。またその車両販売形態はまさに多種多様で、メーカー直結のカーディーラーなど、新車販売を兼業しているところを筆頭に、高級車限定や輸入車限定、さらにはスポーツカーやSUV車だけなど、特定車だけの販売に特化する拠点など実に多彩だ。一方、商材の仕入れルートに関しては、いすれの店舗も共通した場所で車両調達を行っている。

●大昔といってもホンの20年位前まで、市場販売用中古車の調達経路は、横のつながりがある新車販売店同士の融通や、販売店主が持つ独自のコネクションを駆使するなど、意外にそのルートは限られていた。しかし昨今は、中古車流通専業間による競り市場が発達。今は全国各地のオークション会場から、ネットを通して車両を調達、それを店頭に並べるのが一般的となっている。

●そもそも中古車取引というのは、たとえ同一車種でも仕様や状態に違いがある「一物一価」の世界だ。このため全国各地で、プロたちのための中古車競売のしくみが確立。今日もオークション会場で、中古車両の取引が行われている。また近年では、衛星通信と地上回線を組み合わせたバーチャルな中古車オークション市場も活発化している。ここまで車両調達が簡素化・イージ化されたことから、1990年代以降、特に新車ディーラーはそれまでは新車を売るための実質的な値引きでしかなかった中古車事業に俄然注力し始めた。

●これには、近年の国内新車販売台数が低迷していることにもその一因がある。というのは、新車販売数が前年割れを繰り返す程、低迷していることから、2000年初頭は各ディーラー共に値引き競争に走らざる負えなかったかったためで、新車販売の利益率が10%以下になってしまうことすら決して珍しいことではなかったからである。それに対して中古車販売の平均マージンは、実に30〜50%と大変な旨みを持っている。

●旨みの大きい中古車販売ビジネスにとって、唯一の関門はひとつだけだ。それは、玉石混肴状態の中古車の競り市場から、いかに人気車を仕入れられるかにある。このためトヨタ自動車は「T--UP」を、日産自動車は「カウゾー」などドライバーから直取引で商材調達に走った。ただこれはどれも、先行する独立系買い取り店を模したビジネスモデルの模倣である。

●かつては広大な自動車業界において、ビジネスモデルの発掘でも常に時代をリードし続けてきたトヨタなどの自動車メーカーだが、近年は、中古車販売戦略やクイック板金修理サービスなどで、中小事業者の後追いを演じ続けている。少なくとも自動車流通で、大手自動車メーカーがその覇権を握る時代は終焉を迎えつつあるかのようだ。しかも未来の中古車マーケットでは、一般消費者同士が自ら個人のXMLデータを検索し合って、互いに目当てのクルマを直取引で買う時代も刻々と近づいている。

●実際、世界最大のネットオークションである米イーベイでは、常時1万台を超える中古車が出品されており、日本でもネットオークション最大手のヤフーでの中古車取引は活況を極めている。つまり古き良き20世紀とは異なり、これからはインターネット網やWeb2.0の普及で、大資本だからといってそれがかならずしも勝者とならない時代を迎えているのである。

●もはやこの流れをせき止めることは難しい。ことによると近しい未来には、今日全盛の大手中古車情報雑誌がその役割を突然終える時期が来るのかも知れないのだ。そのなかで当面、先行する独立系中古車ブランドとの競争に、大手自動車メーカーが想定通りに打ち勝てるのかどうか。当面、その勝負の行方をじっくり静観したい。

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このページは、kenjiが2006年8月23日 02:29に書いたブログ記事です。

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